妊娠・出産・授乳という大仕事を終えた胸は大きなダメージを負っています。
「産後一段落したと思ったら胸が垂れてしまってがっかり…」「何とかして産後垂れてしまった胸を戻したい!」という悩みを持っている方も多いのではないでしょうか?
ここでは産後胸が垂れる原因と垂れた胸を戻す方法を紹介します。
産後のこんなお悩みありませんか?併せてどうぞ。
妊娠から卒乳までは胸が急激に変化する要注意期間!
乳腺は妊娠中から急激に発達
妊娠すると授乳に備えて母乳を作る「乳腺」が発達し、それに伴って乳腺を包んでいる脂肪も増えるため胸のサイズ・重みが増します。
出産から3日ほど経つと母乳の分泌が盛んになり胸はパンパンに張ったりしぼんだりと急激な変化を繰り返します。
赤ちゃんが成長し授乳の感覚が整ってくると胸の張りは治まりサイズの変化は落ち着きますが、卒乳すると役目を終えた乳腺の機能は低下し胸もしぼんで小さくなってしまいます。
この急激な変化が胸を支えている組織に大きなダメージを与え産後は胸が垂れてしまうのです。
日本人の胸は垂れやすい!?
胸は約90%が脂肪でできていますがその中でも乳腺の割合が多い「乳腺型」と脂肪の割合が多い「脂肪型」に分けられます。
「乳腺型」は欧米人に多く、たくさんの発達した乳腺を少なめの脂肪が取り囲んでいるため触り心地はやや固めですが、円錐型をしており大きくても垂れにくいのが特徴。
一方「脂肪型」は日本人を含むアジア人に多いタイプで、やわらかく垂れやすいため美しく保つためには正しいケアが必要です。
産後に胸が垂れる原因は?
胸の重みでクーパー靭帯が伸びる
胸は「クーパー靭帯」というコラーゲン繊維の束によって土台となる筋肉と繋がり支えられていますが、重力や振動によるダメージを受けるとクーパー靭帯が伸びて胸を支える力が低下してしまいます。
妊娠中から卒乳にかけては胸の重みや授乳によってクーパー靭帯に大きな負荷がかかるためクーパー靭帯が伸びて胸が大きく垂れてしまいます。
一度伸びてしまった「クーパー靭帯」は残念ながら自力で元に戻すことができないため、現状よりも悪化させないように予防することが大切です。
皮膚が伸びてしぼんだ風船状態に
乳腺の発達に伴い胸のサイズもアップしますが、授乳を終えて乳腺が衰えても伸びた皮膚は急激な変化に付いて行けずにしぼんだ風船状態になってしまいます。
この状態で放置すると胸の皮膚はハリを失いシワやたるみが目立つようになります。
授乳で胸が引っ張られる
授乳は大切なスキンシップの時間ですが、立ちながら授乳をしたり引っ張り飲みをする癖が付いてしまうと胸が垂れたり乳首が伸びて下向きになってしまうため、授乳の仕方にも気を付けなくてはなりません。
卒乳はムリに急ぐ必要はありませんが、引っ張られている期間が長くなる分胸へのダメージも蓄積されてしまいますので食事によって栄養が摂れるようになったら少しずつ卒乳への準備をはじめましょう。
姿勢が悪くなり血行不良に
妊娠中はお腹の重みで姿勢が変化します。
また、赤ちゃんが生まれてからは両手で赤ちゃんを抱っこしたり、のぞき込む姿勢が多くなるためついつい背中が丸まりがちです。
このように姿勢が悪くなると胸が下向きになり、重力の影響を受けやすくなったり血行不良による栄養不足で胸が垂れてしまいます。
胸を支える筋力の低下
妊娠中から産後にかけてはスポーツや筋トレをする機会が減り、筋力の低下を招きます。
胸の土台となる大胸筋や胸を支える小胸筋が衰えると胸の位置を保つことができなくなり胸が垂れてしまいます。
妊娠中・産後すぐは無理な運動は禁物ですが、出産や子育てに必要な体力・筋力を保つためにもマタニティヨガやストレッチを積極的に行いましょう。
激しいホルモンバランスの変化
女性ホルモンには肌のハリを保ち女性らしい体形を保つ働きがありますが、妊娠・出産・授乳・生理再開・卒乳などによりホルモンバランスは目まぐるしく変化します。
妊娠から出産までの激しいホルモンバランスの変化や子育て中の寝不足・疲労・ストレスなどによってホルモンバランスが崩れると肌のハリやうるおいは失われ胸も垂れてしまいます。
今日からできる!産後垂れた胸を戻す方法
筋トレで垂れた胸を持ち上げる
胸の土台となる「大胸筋」は手の平を合わせて押し合う「合掌のポーズ」や腕立て伏せで鍛えることができます。
「合掌のポーズ」は手の平を胸の前で合わせて押し合い顔の前まで上げて5秒間キープ、さらにおへその位置まで下げて5秒間キープという動作で行います。
1日5回×3セットを毎日続けて行うと効率よく大胸筋を鍛えることができます。
猫背になると効果が半減してしまいますので肩甲骨を寄せて胸を開くことを意識して行いましょう。
大胸筋の奥にあり肋骨と肩甲骨を繋いでいる「小胸筋」はサスペンダーのように胸周りの組織を支えクーパー靭帯を補助しています。
小胸筋は水を入れたペットボトルを頭上で持ちゆっくり頭の後ろに持っていき10秒間キープという動作で鍛えることができます。
産後は赤ちゃんの抱っこなどで肩や肩甲骨周りが凝りやすいため肩回しやストレッチも合わせて行いましょう。
筋肉を付けすぎると、代謝が上がって脂肪が燃焼され、胸が小さくなってしまうことがあるためやりすぎないように注意が必要です。
保湿して乾燥を防ぐ
肌が乾燥するとバリア機能が低下し乾燥や摩擦によるダメージを受けやすくなってしまいます。
肌のハリを保つコラーゲンも減少しふっくら感のない垂れた胸になってしまいますのでボディクリームやローションを使って毎日保湿を行いましょう。
特にお風呂上りは肌が乾燥しやすいため赤ちゃんのお世話も忙しい時間ですが、5分以内を目安に素早く保湿を行いましょう。
妊娠中・産後は肌が敏感になるため、合成香料や着色料・アルコールなどを含まない低刺激なクリームを選ぶと肌トラブルが起きにくく安心です。
強い力でクリームを擦り込むと肌やクーパー靭帯がダメージを受けてしまうため、肌が引っ張られないようにやさしく塗り広げましょう。
胸だけでなく妊娠線ができやすいお腹周りやお尻なども一緒に保湿して妊娠線ケアも同時に行いましょう。
マッサージでバストアップ&母乳の出も良くなる
乳腺を刺激する「乳腺マッサージ」でバストアップしながら母乳の出も良くすることができます。
摩擦による刺激を避けるためにボディクリームやマッサージオイルを使って、10分以内を目安に行いましょう。
体が温まっている入浴後に行うとより効果的です。
ステップ1
「乳腺マッサージ」は乳腺を発達させるツボを刺激することから始めます。
左右の乳首を結んだ中心にある「だん中」・乳首と同じ高さで胴体と胸の境にある「天けい」をそれぞれ5秒間ゆっくりと親指で指圧します。
ステップ2
次に胸の外周を刺激する「クロスマッサージ」「マルマッサージ」をやってみましょう。
「クロスマッサージ」は左胸の下に右手を当てて右胸上部に向かって、反対は右胸の下に左手を当てて左胸上部に向かってやさしく引き上げるように軽擦します。
これを交互に両手で「∞」を描くように20回繰り返します。
「マルマッサージ」は右手を右胸の上に、左手を右胸の下に添え右手は胸の中心に左手は外側に向かって、アンダーバストのラインに沿って両手で円を描くようなイメージでやさしくマッサージします。
反対も同じ要領で左右交互に20回繰り返して下さい。
強い力でグイグイ引き上げたり胸をねじると逆効果になってしまいますので注意しながら行いましょう。
ステップ3
胸をゆっくり痛くない強さでつまんで乳腺を刺激します。
まずは両胸全体を同時に5回、次に胸を上下・左右・乳首で5ブロックに分けそれぞれ5回つまんで離す、を繰り返してください。
ステップ4
溜まっていた老廃物をリンパ管に流します。
鎖骨の上部を中心から肩に向かって左右5回、脇から胸の中心に向かってアンダーラインを左右5回、二の腕の内側をひじから脇に向かって左右3回ずつ強擦し最後に両手を上げて大きく伸びをしたら乳腺マッサージ完了です。
胸の変化に合わせたブラジャーを着ける
妊娠中から産後にかけては胸のサイズが急激に変化します。
大きくなる胸に合わせずきついブラを着けていると締め付けや圧迫によって血行不良・型崩れが起き胸が垂れやすくなってしまいます。
反対に卒乳後に小さくなっていく胸にゆるいブラをしていると胸が不安定な状態になり振動や重力によるダメージを受けやすくなってしまいます。
産後数週間は授乳のたびに胸の大きさが変化することもあるため、胸の張りが落ち付いたタイミングを見計らってお店でサイズを測り胸に合ったブラを着けるようにしましょう。
授乳期間に締め付けのきついブラを着けていると、乳腺炎になったり母乳の出が悪くなってしまうこともあるためムリな締め付けのないものを選びましょう。
「マタニティブラ」「授乳ブラ」はワイヤーが入ったタイプとノンワイヤータイプがありますが、胸の垂れを防止するためにはワイヤー入りでカップが二重になっている「ウインドオープン」タイプがおすすめです。
ただしつわりや後陣痛などで体調がすぐれない時には無理せずやわらかなノンワイヤータイプを着用しましょう。
ナイトブラで寝ている間もバストケア
胸は寝ている間も重力や圧力によるダメージを受けています。
特に産後は横になっている時間も長くなりますので、ナイトブラを着けて寝ている間もバストケアをする習慣が大切。
ナイトブラは産後の貴重な睡眠を妨げないように、吸湿・通気性が良く締め付けの少ないノンワイヤーのものを選びましょう。
布一枚のペラペラのものではなく適度に伸縮性がある生地で胸全体をすっぽり覆ってくれる「フルカップタイプ」を着けると寝ている間のダメージを軽減し胸の垂れを防止することができます。

授乳中も正しい姿勢をキープ
授乳中は特に猫背になりやすいため意識して正しい姿勢をキープしましょう。
横抱きで授乳をすると「赤ちゃんが飲みやすいように…」と赤ちゃんの頭側の肩が上がりがちですが左右の肩の高さが水平になるように気を付けましょう。
授乳時に高さが合わなくて腕が疲れるという場合は授乳クッションや丸めたブランケットなどで高さを調整し姿勢が悪くなるのを防ぎましょう。
ついつい脚を組んで高さ調節してしまうという方も多いと思いますが、脚を組むと骨盤が歪んで体全体のバランスが悪くなってしまいますので控えたほうがベターです。
バストアップに効果的な食事
しぼんだ胸をふっくらさせるためにタンパク質・コラーゲン・ビタミン類・イソフラボンを多く含む食べ物を中心にバランスの良い食事を心がけましょう。
タンパク質は卵・乳製品・肉類・魚類・大豆製品に、コラーゲンはゼラチン・牛すじ・フカヒレ・手羽先などに、ビタミン類は緑黄色野菜・ナッツ類・卵などに、イソフラボンは豆腐や豆乳などの大豆製品に多く含まれます。
ただし妊娠・授乳中は食事の栄養が赤ちゃんにも影響を与えるため過剰な摂取は絶対にやめましょう。
特に女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンやうなぎ・レバー・ホウレン草に多く含まれるビタミンAは摂りすぎると赤ちゃんに悪影響を与えてしまうため注意が必要です。
できるだけ規則正しい生活を!
妊娠中から卒乳にかけては、ホルモンの影響で睡眠が浅くなったり赤ちゃんの夜泣きでまとまった睡眠時間を確保することが難しくなります。
また、慣れない生活でストレス・不安・疲労を感じることも多くなりますが、睡眠不足やストレス・疲労はホルモンバランスに影響を与えるためできるだけ規則正しい生活を心がけましょう。
産後は特に赤ちゃんのお世話が忙しく自分のことはおろそかになりがちですが、赤ちゃんと一緒にお昼寝をしたり、好きな音楽をかけてゆったりお茶を飲むなど意識的に体を休める時間を作ってリラックスしホルモンバランスを良好な状態に保ちましょう。
妊娠中・授乳期間中のバストケアの注意点
「バストアップ用」のサプリメント・クリームは避ける
「バストアップ用」のサプリメントやボディクリームには、女性ホルモンに影響を与えるプエラリアやイソフラボンといった成分が多く含まれます。
これらは通常時のバストアップには有効ですが妊娠中や授乳期間中はホルモンバランスの乱れによる体調不良や女性ホルモンの過剰摂取による赤ちゃんへの悪影響を考慮して飲用・使用を避けましょう。
またこれらを含まない栄養補助などのサプリメントでも体質や状況によって飲用を避けた方が良い場合があるため必ず医師に相談するようにしましょう。
マッサージ・筋トレは体調と相談しながら
きれいな胸を取り戻したいからと言って無理なマッサージや筋トレは禁物です。
産後は筋力・体力ともに低下しているため体調が良い時に無理な負荷をかけずに行いましょう
マッサージや筋トレは垂れ予防にも効果的ですが胸への刺激は子宮を収縮させ流産や早産のリスクを高めてしまうため必ず安定期に入ってから、医師や助産師に相談して行いましょう。
マッサージ・筋トレ中にお腹が張ったり体調に変化が現れた場合はすぐに中断し座ったり横になって安静にしましょう。
どうしても産後垂れた胸を戻したい!という場合は整形手術
一度切れたクーパー靭帯は元に戻すことができないため「どうしても垂れた胸を戻したい!」という場合は整形手術が必要になります。
整形手術には脂肪注入・ヒルロン酸注入・プロテーゼ(豊胸バッグ・シリコン)といった方法があり、30~200万円の費用と定期的なメンテナンスが必要です。
施術は母乳が出なくなって胸の大きさが安定したタイミングで受けることができます。
脂肪注入の場合は産前より産後の方が胸周りの血流が良いため脂肪が定着しやすく持ちが良いというメリットがあります。
整形手術は確実にバストアップすることができますが、しこりや腫れ・痛みといった症状が出た場合はそれらを取り除く処置が必要になります。
プロテーゼは一度入れてしまえば半永久的に胸の大きさを保つことができますが、プロテーゼの影響で乳腺が傷付き乳腺炎を起こしやすくなることもあるため、この先妊娠を希望しているという場合は脂肪注入・ヒアルロン酸注入の方が低リスクで安心です。
まとめ
産後垂れた胸を戻すには、胸のサイズ変化に合わせたブラ選びと筋トレやマッサージをコツコツ続けることが大切です。
姿勢やナイトブラ着用など常に胸のケアに気を配るのは大変かもしれませんが、それを習慣にしてしまえば今後も胸へのダメージを抑え垂れにくくすることができます。
産後は赤ちゃんにかかりきりになりがちですが、マッサージや軽い筋トレで自分のために時間を使うということがリフレッシュにもなりますので楽しんでバストアップに取り組んでくださいね。
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